タイプーサムに行ってしまいました
先日このブログで『タイプーサム』というお祭りについてお伝えしました。
ちょこっと復習いたしますと,タイプーサムは,毎年ヒンドゥー教のタイという月の満月の日に行われる奇祭。
想像を絶するあ~んなことやこ~んなこと(後でじっくりお伝えします)が行われてしまうお祭りで,本土インドでは禁止。今ではマレーシアとシンガポールでしか見られないとか。
となると,どうしても見たくなってしまう私の好奇心。
日に日にタイプーサムへの思いはつのり,ずっと「行きたい」と言っていたら,知り合いの方が連れて行ってくださることになりました。
今年のタイプーサムは1月27日。お祭りはどうやら前日の夕方ぐらいから,2・3日間ずっと24時間行われているようです。
昼間は観光客が多いということなので,私たちは日付が変わった28日の深夜2時,お祭りが行われるバツーケーブ(バツー洞窟)へ向かいました。
メイン舞台はクアラルンプール郊外のこのバツーケーブなのですが,お祭りはクアラルンプール中心地のヒンドゥー寺院「スリ・マハ・マリアマン寺院」(何度聞いても正確に名前を覚えられない)から始まります。
ここからバツーケーブはおよそ17キロほど離れていますが,信者はここからお供え物のミルク壺などを抱え,歩いてバツーケーブまで向かいます。
ただ,やはりここは不思議なマレーシア。この日はたくさんのインド人が集まるであろうこのヒンドゥー寺院があるのは,チャイナタウンの一角。
多文化が共生するとは「相手を受け入れる」ということなのだと思います。
さて,深夜2時のバツーケーブ。
さすがに観光客はほとんどいないため,車もスムーズに止められました。
それでも,信者の方々や祭りの雰囲気を楽しみに来た方々,インド系の若者たちなど人はたくさんいます。
参道にはお供え物のミルクや花が売られており,その他のスペースには出店がたくさん。
神事よりもお祭りの要素がかなり大きくなってきているのか,移動遊園地まで来ていました。
山積みにされたお菓子や食べ物,布やカーペットにキッチングッズ,CDやDVD,
たっくさんの仏像。いろいろなものがところ狭しと並べられていて,なんだかワクワクします。
夜中でしたが,参道は派手にライトアップされており,出店もたくさんあったのでにぎやか。
そんな一般客の集まる参道から,なにやら「ウー」とか「ワー」とか
いう奇声が・・・・・もしや,まさか,これが,あれなんでしょうか!?
人が集まるほうに行ってみると,一人の信者の方がわめいています。
その姿はもはや「人間」とは言いがたい・・・・何かに乗り移られたかのよう・・・・・
目を見開き,舌はベロリと垂れ,自分では自分の動きを制御できなくなっています・・・・
彼は,背中に大きな釣り針のようなフックをたくさんつけ,そのフックは後ろを付いてきている
同行者により引っ張られています。つまり,背中の皮が引っ張られているわけです。
動物のように動き回ってしまう彼を,同行者の人がひっぱり制御しています。
彼は完全にトランス状態・・・・・
そんな彼が目の前を過ぎ去って行ったかと思ったら,次なる信者が現れました。
彼も完全にトランス状態。肩に大きな刀をかつぎ(くいこんで痛いはず)
腰で後ろに見える大きなお神輿を引っ張っています。
なんと,お神輿には5歳ぐらいの子供が乗っていますよ。かなりの重さでしょう。
それでも彼は一歩一歩進んでいきます。
そう,このお祭りの奇祭たるところはこの「苦行」。
神様に信仰心を示すため,かなり「痛いこと」をやりながら聖地に向かうのです。
かなりエキセントリックなお祭りですね。
他にも,体中にフックのついた小さなミルク壺をつけたり,大きな太い串を頬に貫通させたり,
舌に突き刺したりする方がいらっしゃるそうです。
このような苦行を積む人々は選ばれた信者だそう。
同行者(家族)に励まされながら,ただただひたすら聖地へと向かいます。
マレーシアの聖地,「バツーケイブ」(バツー洞窟)は有名な観光地としても知られています。
神様はこの左側に見える272段の階段を登った洞窟の中に奉られています。
ということは・・・・・・
もちろん・・・・・・・・
登りますよ,登りますとも。信者のみなさんも!! 重いのかついだり,フックで引っ張られたり
しながら!!!!
普通の精神状態だったら無理ですよ。
このように重いミルク壺を持って長い道のりを歩いてこられた方も,最後の
この階段に行く手を阻まれ,何度も休みながら進んでいらっしゃいました。
「苦行」とはいかないまでも,信者の方は参拝する前に頭を剃り身を清めるのが慣わしのようです。
小さな子も,女の子も頭を丸めている人がたくさんいました。
さて,洞窟の中。
苦行を終えた人々が数名集まっています。
この人は,ミルク壺つきフックを抜いてもらっているところ。
まだトランス状態のようです。
もちろん,このようなトランス状態に入った人たちの興奮が一気に冷めるわけではありません。
ですから,この人たちを静める力を持った人が信者をなだめていきます。
このジャックスパロウみたいな,おしゃれなしぶいおっちゃんがその「すごい人」。
この人が何か言うと,いきなり信者がサルになっちゃってココナッツをかじったり,
重いものを持って腰が立たない人が急に元気になっちゃったり・・・・・。
不思議な世界でした。
とっても不思議すぎて,いまだに私の中で消化できていないこのお祭りですが,
また来年も見てみたいと思ってしまった・・・・・・・
いろんな形はあるけれど,神様に祈りをささげるその一生懸命な姿はとっても美しいと思いました。
苦行を積む人々と,鼻を突くヨーグルトのようなにおい(お供え物のミルクが発酵しているにおい+花+体臭+ゴミ)←かなりきついにおいです・・・昼間はもっとひどかったかも・・・。
見えるものも感じるものもこの世のものとは思えない,正気の沙汰とは思えない世界でしたが,一見の価値はあると思います。